4. 思索と 自然を 貫くもの(2):



  (1) 神のことばによる天地創造:

     ・・・・・  「すべてのものは、彼によってできた。できたもののうち、一つとして彼によらないものはなかった。」(ヨハネ1:3)


  この天地が、神の「ことば」(ヨハネ1:1)によって造られた、と聖書が語ることは、初めて聞いた人にはなかなか信じがたいものです。
  しかし、その理解を助ける、類推となることがあります。それは、コンピューターDNAです。

  計算をすることはもちろん、各種の装置を命令どおりに制御する コンピューターを動かすためには、必ず 前もってインプットされた プログラムが必要です。それは1字1句間違いなく作られなければなりません。具体的に電子機器を動かすための”機械語”の外郭には、各種の”プログラム言語”(アセンブラ、ベーシック、C言語など)が用意されています。
  ごく簡単な機器ではコンピューター無しでも動かせますが、少しでも複雑になると、このプログラムを用いてマイコン等を動かす動作方法が、最も合理的で、優れた方法となります。プログラム無しに複雑な動作をする機械を作るならば、それらは非常に複雑で かさばる、高価な構造体になるでしょう。パソコンのみならず、家電や自動車、ブルドーザーにもコンピューターが組み込まれ、全体の中で 比較的高価 かつ 必須の部分になっています。
  今、マイコンは安くなっていて、アマチュアの電子工作などにも手軽に用いられるほど普及しています。 C言語ならば while(1){ }、アセンブリー言語ならば ジャンプ命令 によって、無限ループの中で、(電源が切られるまで)動作を続けていきます。( → 実験道具の実験室・電子工作


  あらゆる生物に組み込まれている DNAは、4種類の塩基の組み合わせにより、コンピューターのプログラムよりもはるかに高密度の情報を、しかも分子レベルで書き込まれている媒体になっています。(ヒトの塩基数 30億個、そのうち約5%が生体情報として有効に働く部分) DNAは、各種のRNAを転写し、細胞内のたんぱく質や酵素の合成、生体器官の発生などの、さまざまな生体情報の”根源”になっているばかりではなく、DNA自身も細胞分裂・増殖のときに複製され、また 性染色体遺伝子のDNAは 次の世代へ形質を”遺伝”する働きをします。
  したがって、DNAという、ミクロで 果てしなく複雑なものが”存在”することは、決して”自然発生的”にできるものではなく、また あまりにも小さく複雑なため人間が作る(=組み立てる)事も到底不可能で、消去法により、超越的なある創造者(サムシング・グレート)が存在してこれを造ったことを必然的に要求する重要な証拠となっています。( → 生物における主の主権 )


  このように、神様が造られたすべての生物に、あらかじめ非常に高度なレベルの膨大な「ことば」が書き込まれ、また、人工的な機械にも「ことば」を書き込んで動作させるのが合理的である、ということになります。
  ならば、尚のこと、空間や 天体などの無生物を含む天地万物が 神様の「ことば」によって造られたことは、神様の方法として”合理的”なことだったと言えます。そして、神様は、無限に高度な理性と力に溢れる 「言葉の神」であり、自然啓示から、このような偉大な方 = 「在りて在る」方が必然的に存在しなければならないのです。



  (2) 量子力学における自然啓示:

  前節の ”数学思索”と同様に、それとはまったく独立した範疇に属する”物理(=自然)”にも、指数関数による記述が普遍的に成立しています。
  現代物理学の2大分野は、「量子力学」と 「相対性理論」です。(相対性理論は、光速一定という事実に基づく 古典力学の発展形です。)

  量子力学は、その根底にある”波動性”において、複素数を冪とする e の指数関数が普遍的に現れます。ただし、数学と違うのは、1. 確率性、と、2. 不確定性 の2つの原理が貫かれている点にあります。さもないと、物質の”粒子性”との両立ができません。あくまでも、波動性は、物質の水面下にある性質の範囲までであり、量子力学的に計算できたとしても 分かることはその実現する”確率”までであって、その一つ一つが実際 どのように”実現”するかは、本質的に 人間には分からない、ということになります。他の実在論的な理論(= 古典力学のように、計算すれば少なくとも原理的には その実現する様子がどこまでも正確にわかるはず)がすべて否定され、量子力学のみが正しいことが実験的に確認できたのは、実に 計測技術が発達した20世紀も末になってからのことです。(→ 量子力学の正しさを裏付けた2つの実験

  (20世紀最大の発見 ・・・ ”分からない”ということが 分かったこと。 まさに、「神のみぞ 知る。」 → 量子力学の自然啓示 )



  (3) 量子力学の波動性:

  あらゆる物質は、”粒子性”と”波動性”の 両方の性質を同時に持っています。検出されるときはそれぞれの粒子(実数)として、そして、”水面下”では 物質波という 複素数の波動としてです。ここで、水面下とは、未確定の確率波の状態のことで、それが確定した時点のものとのギャップを表してこのように言いました。この 水面下では、複素数の波動関数として、シュレディンガー方程式と呼ばれる2次微分方程式に従います。2次微分方程式なので、解は、複素数を冪とする e の指数関数の形となります。
  物質のエネルギー準位という、不連続な性質も、この指数関数の多価性(2πごとに繰り返す)を起源としています。

  このように、量子力学的振動は、実数と虚数の間を 行ったり来たりする振動になっています。これは、古典物理では現れなかった種類の振動です。(ただし、あくまでも水面下の状態としてであって、われわれが見えるものはすべて実数部分のみ。 cf. 力学では、位置エネルギーと運動エネルギー、 電磁気学では、電場エネルギーと磁場エネルギーを交互に繰り返す振動で、すべて実数。)
    



  (4) 不完全性定理:

  数量的思索のうち 数学思索以外の残り、論理学の分野でも、20世紀になって”分からない”ということが分かってきました。自然数論(1、2、3、・・・と順番に数えられる概念)を含み、代入可能な、すべての理論体系においては、ゲーデルの不完全性定理( → 理性の不完全性 )が成り立ち、逆説的な矛盾(=その系内で証明不可能の命題が存在する)が生じるというものです。

  この不完全性定理により、『(単純な)一なる神』がもし存在すれば、”全知・全能”という点で矛盾が生じることになります。
  一なる神の代表格として、ユダヤ教、イスラム教が挙げられますが、「神」の定義の一つとして”全知”とすると、それらの”神”の存在形態が矛盾します。このような”一なる神”は 存在してはならないのです。 ( → 4. 神の存在論

  そして、第一不完全性定理の”対偶”: システム S が「完全」( = その理論体系の中ですべて証明可能 = 全知)ならば、システム S は矛盾している、 もまた”真”となります。
  結論は、”神の存在形態”は、もし 神が”全知・全能”ならば、その存在形態は(人間の理性から見て、)矛盾していなければならず、これを満たすものとして、あらゆる宗教の中で、「神の三位一体」が残る、ということになります。


                   1 + 1 + 1 = 1  ・・・ (存在形態の矛盾 ← 本当の「神」)


  また、論理の、+1 と −1 の間の値は、0 ではなく、 指数関数 iθ です。デジタルの論理は、指数関数で展開することによって、アナログになります。このとき、「矛盾」は そのまま時間で掃引すれば 「振動」のようなものとなり、アナログになれば「調和振動(円振動)」になります。(→ 6.数学思索の不思議

      言語               数学     プログラム      デジタル回路   
 担体    階層構造をもつ言語     自然数を含む帰納的な関数   アルゴリズム  NAND回路の組合せ 
 方法 自己・相互を否定的に言及 それ自身のゲーデル数をもとの式に代入  ジャンプ・ループ     負帰還回路
 結果    パラドックス(矛盾)   不完全性(証明も反証もできない)   無限ループ   不定状態・発振

  *  論理学では、”偽、真”が”0、1”、 自然数論では、2進法で”0、1”、 論理回路では、デジタル信号の”Low、High”が”0、1”となる。さらに、アナログ回路では、”0”と”1”、及び、その中間の価が取りうる。




  (5) 信仰の要求:

  量子力学の「数学的な理論」として成り立つのは、”水面下”においてのみであることを知りました。「理論」の上では、(複素数ではありますが、)一意的であり、因果的であり、確定的であり、連続しています。しかし、実際に「観測」されることは、非因果的、確率的、不連続的な結果(実数)です。
  このギャップこそ、創造主である神様が 私たちに要求される通行証のようなものです。それは、「信仰」にほかなりません。私たちが神様と接するとき、「信仰」が必要であることを、天地創造のときに定められました。神様は、ただ、信仰によって喜んでくださいます。


   「3  信仰によって、わたしたちは、この世界が神の言葉で造られたのであり、したがって、見えるものは現れているものから出てきたのでないことを、悟るのである。」(ヘブル人への手紙11:3)
   「6  信仰がなくては、神に喜ばれることはできない。なぜなら、神に来る者は、神のいますことと、ご自分を求める者に報いて下さることとを、必ず信じるはずだからである。」(ヘブル人への手紙11:6)
   「26  見よ、神は大いなる者にいまして、われわれは彼を知らない。その年の数も計り知ることができない。」(ヨブ36:26) (ヨブはパレスチナ東方の異邦人
   「4  そして、わたしの言葉もわたしの宣教も、巧みな知恵の言葉によらないで、霊と力との証明によったのである。
   5  それは、あなたがたの信仰が人に知恵によらないで、神の力によるものとなるためであった。」(Tコリント2:4、5)
   「9  天が地よりも高いように、わが道は、あなたがたの道よりも高く、わが思いは、あなたがたの思いよりも高い。」(イザヤ55:9)
   「27  夜昼、寝起きしている間に、種は芽を出して育って行くが、どうしてそうなるのか、その人は知らない。」(マルコ4:27)


  20世紀には、4つの”分からない”ということ(=自然科学において 人間が知ることが許されていない領域)が明らかにされました。それは、1. 確率性(量子力学)、 2. 不確定性(量子力学)、 3. 相対性(相対性理論)、 4. 不完全性(論理学) です。これらはすべて、物理と 思索の根幹にかかわることです。そして、「信仰」による歩みをすることを、自然啓示を通して、神様が人類に要求しておられることを示しています。

             

  ヘブル人への手紙は、(作者はパウロだといわれていますが、)当時のユダヤ人クリスチャンに宛てた手紙です。ユダヤ人がキリストにつまづいたのは 不信仰のためでした。相対性理論の大家のアインシュタイン(ユダヤ人)も、生涯に渡って 量子力学を否定し続けたことは有名です。ユダヤ人(日本人にもユダヤの血が多く入っている?)のためのメッセージは、「信仰」が強く語られなければならないと思われます。
  私たちは、”知的高慢の罪”には 十分注意していかなければなりません。 チョー・ヨンギ師は、大胆にも、”理性の声は 敗北の声”と言っています。
  主が語られた言葉こそが、すべてのことを成就していきます。(イザヤ55:10、11) (知的)高慢の罪は悔い改めなければなりません。(ヨブ42:1−6)



  (6) 人の脳の特異性:

  「信仰」の土台とは、神様の言葉です。では、神様が語られる言葉を どのようにして捉えていくのでしょうか? アダムとエバがまだ罪を犯していないときには、日常的に主との会話ができました。これにより、「罪」が、神様とのコミュニケーションを阻害していることが言えます。しかし、私たちは、イエス様の十字架の血によって、完全に罪が赦されました。あとは、イエス様の近くに(進んで、意識して)居続けることです。
        ・・・ 「私の羊は、私の声を聞き分ける。」


  脳の構造において、人は、他の動物よりも著しく発達している部分があります。人は、神様から「息」を吹き入れられて、「生きた者」とされました。(創世記2:7) それゆえ、人は、永遠に存在し続ける霊的な生き物です。(どこで永遠を過ごすかが最も重要な問題です。 ・・・ 天国か 地獄か?)
  また、「預言」の賜物が、他の御霊の賜物よりも 特別な位置にあることを暗示しています。

  人間がサルよりも 圧倒的に発達している大脳の部分は、

  ・ 前頭葉の10野(前頭極・額のあたり);  未来についての事柄、予測、計画
  ・       11野
(眼窩前頭皮質・眼球の上の回り込んだ皮質部);  意思決定の認知処理
  ・ 側頭葉の38野
(側頭極・側頭葉の先端部);  言葉の意味記憶、顔の見分け、他者の心を推察
  ・ 頭頂葉の40野(縁上回・頂頭葉の後角部);  (信仰)

であり、「霊的」なことに関与するこの部分は、それぞれ「神様」のご性質の重要な部分と一致します。

  ・ 「永遠」についての概念の理解、未来の啓示=「預言」、「時間を超越」する理解
  ・ 「意志」の分野を神様にゆだねる=「異言」、「聖霊のバプテスマ」
  ・ 「ことばの神」、「コミュニケーション」、「愛とあわれみ」
  ・ (「神の信仰」を持つ、「礼拝」

  このように、神様とのコミュニケーションによって 神様の言葉、神様の意思、預言、異言、愛とあわれみ、各種の御霊の賜物受け取る機能が、人が創造された時に すでに備えられていることがわかります。
  そして、イエス様が人として地上にこられたのと同様に、多くの場合、神様は あえて人を通して、ご自身のわざをなされます。それは、被造物を通して 神様に栄光が帰されるためです。

            ( → 脳・神経のメカニズム(2)




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